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介護費用【仕分けと現実】 ~減るのは 介護のお金だけじゃない~

介護費用

「親の介護にかかるお金は、親のお金から出す」

介護が始まったばかりの頃は、そんなふうに考えることが多いのではないでしょうか。

介護サービスの利用料、医療費、介護用品など、いわゆる「介護費用」は、親のために必要なお金です。親に預貯金があれば、そこから支払うのが自然です。けれど、実際に介護を始めてみると、もう一つの現実に気づきます。

介護には「介護費」として見えにくいお金が、思っている以上にかかります。

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親のために買ったものが いつの間にか自分の財布から

親の衣類を買う。
パジャマや靴下を買う。
介護に必要な小物を買う。
親の食べるものを買う。
急に必要になった日用品を買う。
病院へ行くための交通費を払う。

一つひとつは、それほど大きな金額ではないかもしれません。だからこそ、「今回は私が払っておこう」となりやすいです。

そして、それが一度や二度ではなくなっていきます。介護が長く続けば続くほど「親のために自分が立て替える」という場面は増えていきます。

最初は気にならなかった数百円、千円、数千円が積み重なり、ふと気づいたときには、「私、結構お金を使っているな……」となることもあります。

(※余談ですが)
私の父母は病気により障碍者手帳を持っていました。その為年間のタクシー券を持っていたにもかかわらず、父母はタンスにしまい込んでいましたので、気づけば通院のタクシー代も私が持ち、膨大な費用が掛かっていました。

「親のお金を使えばいい」だけでは、簡単ではない

では「親のものなら、親の口座から出せばいい」と思うかもしれません。ところが、親が高齢になり、自分で銀行へ行くことが難しくなったり、判断能力が低下したりすると、話はそう簡単ではありません。

全国銀行協会は、預金の引き出しについて原則として預金者本人の意思確認が必要とし、本人の生活費や介護施設費用などのために資金が必要な場合には、まず取引銀行へ相談するよう案内しています。また、銀行独自の代理人制度や財産管理サービス、成年後見制度なども紹介しています。

つまり「親のお金なのだから、子どもが自由に引き出して使えばいい」という単純な話ではありません。銀行によっては、本人が元気なうちに代理人を届け出ておくなど、家族が必要な支払いを扱うための仕組みがあります。

でも、介護をしている家族にとっては、それさえも簡単ではありません。銀行へ行く。必要な手続きをする。親本人の意思を確認してもらう。何に使ったのか分かるようにしておく。介護で疲れ切っているときには、それ自体が大きな負担になることがあります。

親のクレジットカードを借りる事も原則できない

「では、親のクレジットカードを借りて買い物をすればいいのでは?」しかし、これも原則としてできません。

クレジットカードは、カード会社から名義人本人に貸与されているものです。日本クレジットカード協会は、家族であっても名義人以外は使用できないと案内しています。国民生活センターも、家族間であってもカードの貸し借りはできないとしています。

「親に頼まれて、親のものを買っただけなのに」と思ってしまいますが、カードの仕組みとしては別の問題です。

結局、介護者は 自分のお財布や自分のカードで、いったん支払う。ということになりやすい事が出てきます。

介護者自身にもお金がかかる

また、他にも介護のお金を考えるうえで、忘れてはいけないと思う部分があります。

介護をしていると、自分自身の生活にも変化が起こります。料理をする気力がない。買い物へ行く時間がない。疲れてしまって、今日はお惣菜にしたい。病院の帰りに何か食べたい。家から出るために、いつもなら使わない交通手段を使いたい。

そして、ときには、「今日はもう頑張ったから、ちょっと好きなものを買おう」と思うこともあります。

こうしたお金は、介護費として家計簿に計上されるわけではありません。でも、介護によって生まれた支出であることもあります。

介護中だからこその支出

介護をしている人が、そんな普段より少しお金を使いたくなる時の例として。

いつもは歩くところをタクシーに乗る。いつもは買わないものを買う。ちょっと高いお惣菜を買う。コンビニで甘いものを買う。お気に入りのお店で、焼き立てのパンを買う。

もちろん、家計とのバランスは大切ですが、介護をしている人が、その疲れから”自分のため”のお金を使いたくなることは多々あります

私自身、親の介護をしていた頃、歩いて行けるお気に入りの店へ、焼き立てのパンを買いに行くのが好きでした。もともとそんなにパンを食べない私が、毎日買いに行きました。

今振り返れば、パンそのものが特別に必要だったわけではありません。けれど、その小さな楽しみが、介護の一日の中にあるだけで癒しになったのだと思います。

介護の日々において「ちょっと嬉しいもの」が必要となる。いつもなら使わないお金を自分のご褒美として使う。その様な費用も介護中に増えることがあります。

疲れるほど「お金がかかる」理由

人は疲れてくると、普段なら手間をかけていることを省きたくなります。

自分で作るより買う。
歩くより乗る。
我慢するより、少し楽になる方法を選ぶ。

それは、怠けているからではありません。体力や気力という、自分の資源が減っているからです。介護をしている人にとって、お金は単なる「消費」ではありません。

時間を買うお金。
体力を温存するお金。
気持ちを立て直すためのお金。でもあります。

最後に

介護をしていると

「親のお金を使うのは申し訳ない」
「自分のお金を使うのも苦しい」
「こんなものを買った私は無駄遣いしている」

と、どちらに転んでも自分を責めてしまうことがあります。

でも、本当に大切なのは、親のお金と自分のお金を、できるだけ混同しないこと。そして、介護によって自分の生活にどんな支出が増えているのかを、一度見えるようにしておくこと。です。

完璧な家計簿を作らなくても構いません。

「介護のために自分が立て替えているお金」
「介護によって増えた自分の生活費」
「自分を休ませるために使ったお金」を、何となくでも把握してみる。

それだけでも「私はこんなに無駄遣いしていた」ではなく、「私は介護を続けるために、これだけのお金を使っていたんだ」と見方が変わるかもしれません。

介護のお金を考えるとき、親の預貯金や介護サービス費だけを見ていては、本当の負担は見えてきません。

親のために使ったお金。
介護によって増えたお金。
介護者が自分を保つために使ったお金。

その全部を含めて「介護にかかるお金」なのではないでしょうか。介護をする人が倒れないことも、介護を続けるために必要なこと。

だから、自分を少し楽にするために使ったお金まで、すべて「無駄遣い」と決めつけなくてもいい。介護をする人のお財布も、心も、守っていきたい。それもまた、長い介護を支える大切な準備なのだと思います。

※親の預貯金を家族が管理・引き出す場合の扱いは、本人の判断能力、銀行の制度、個別の事情によって異なります。実際に必要になった場合は、取引銀行へ相談し、正式な代理人制度などを確認することをおすすめします。

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投稿者

父母の介護をしながら
ネットショップ等複数のネット起業をしてきた主婦起業家。
特に母の在宅介護では、これからの介護社会の過酷さを痛感。
まだ情報も少なかったことから必死に自分で介護情報を収集しました。
介護2025年問題を前に、私が介護の前、介護中に知りたかった情報を
ここにまとめています。

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