最近では「介護の社会化」という考えが広まり、専門家に支援を求めることが当たり前になりつつあります。介護のプロが身体的なケアや医療的な対応を担い、家族は心理的な支えを提供する――そうした役割分担によって、介護する側もされる側もより安心して暮らせる環境が作れるように変わってきています。
介護は愛情が根底にある大切な役割ですが、特に金銭面においても家族に大きな負担を強いることもあります。未来を守るためにも、介護の負担が家族だけに集中しないような仕組みが必要ですよね。
専門家に頼むと言っても、今度はお金がかかります。そこで介護にかかる費用負担を軽くするために 利用できる制度についてまとめました。
介護費用負担減に利用できる手当や制度
介護にかかる費用は、ご本人である親御さんに自分で出してもらうのが基本ですが、お金が無い場合もあります。そうなると、子供さんが金銭的に負担になってきます。そこで、介護にかかる費用の負担を減らす為に利用できる制度や貰えるお金には下記があります。
介護者が介護離職する場合
【失業手当】
失業手当受給期間の延長。失業手当受給は、退職した日から1年ですが、介護が理由で再就職活動が出来ない場合、最長3年間受給満了日の延長が行えます。
【国民年金】
失業状態で、家族にも収入がない場合は免除を受ける事が可能。
【国民健康保険料】
免除にはなりませんが、介護離職の「特定理由辞職者」の場合は、保険料が軽減される場合があります。市町村の国民健康保険課の窓口でご確認ください。
介護費の負担を軽くする手当・給付金など
【生活福祉資金貸付制度】
収入が少ない世帯に国が非常に低金利でお金を貸し出してくれる制度です。低所得者世帯・障害者世帯・高齢者世帯 が対象です。
保証人を立てない場合は、年1.5%の利子がかかりますが、保証人を立てる場合は無利子で借りられます。貸付なので、給付とは異なり、返済済義務はあります。お住まいの地域の市町村社会福祉協議会に問い合わせてください。
【自治体の手当】
自治体に寄り名称や支給対象が異なるようですが、65歳以上で寝たきりの方や認知症の方、介護している方などに支給されるものとして、下記のようなものがあります。
・老人福祉手当
・老人介護手当
・住宅改装費用の補助金

【介護休業給付金】
要介護状態にある対象家族1人につき、通算93 日まで介護休業給付金が雇用保険から支払われます。賃金の67%が計3回まで支給されます。
【家族介護慰労金】
要介護度が重度の高齢者を在宅介護する家族。おおむね65歳以上の寝たきり、 認知症の高齢者を介護する人に対し現物給付される慰労金です。 支給額の目安:年額3~8万円程度。実施していない市区町村もあります。
【住宅リフォーム費用】
介護保険から住宅リフォーム費用が出るものがあります。

休暇制度
【介護休業】:対象家族1人に付き93日まで3回に分けて取得可能。
【介護休暇】:要介護状態の家族1人につき年間5日まで1日単位で休暇を取得可能
※また、介護休業法では申請した労働者に対して時間外労働の制限も定められています。フレックスタイム制度や短時間勤務制度などが利用出来たり、深夜残業の制限・転勤に対する配慮も定められています。
※勤務体系や労働日数などに寄り対象にならない場合もあります。
必要に応じてこれらの手当てや制度を使いながら、介護が負担にならないようにすることが、介護者の未来も守られます。無理はしないでご自身の人生、生活も大事になさってくださいね。