高齢になると、 身体の変化よりも先に、心の変化 が訪れます。その中でもいちばん言葉にしづらいのが 「寂しい」 という気持ち。「子どもに迷惑をかけたくない」 「心配させたくない」から始まる 孤独です。
その優しさは尊いものですが、時に「子どもには相談しない」という選択につながり、結果として孤独を深めてしまうことがあります。
私の両親も例外ではありませんでした。
保険営業の人が“家族のような存在”になった理由
両親の住むマンションには、ある保険営業の方が頻繁に出入りしていました。 高齢者が多いマンションで、その方は住民の多くと親しくなり、各家庭を訪ねてはお茶を飲み、食事をし、まるで家族のように振る舞っていました。
両親もその時間を楽しみにしていたようです。
しかし後から保険内容を確認すると、必要以上の契約がいくつもありました。 私は整理を提案しましたが、両親は解約を嫌がりました。
「よくしてくれる人だから。」
その気持ちは理解できます。 高齢者が求めているのは“商品”ではなく“つながり”だからです。
父の死で気づいた「温度差」
転機は父が亡くなった時でした。 解約のために営業の方へ電話すると、お悔やみの言葉もありませんでした。明るい声で事務的に手続きを進め、父の事を「亡くなった時ィ~。亡くなった時はぁ~」と元気に連呼されたには呆然としました。
仕事だから悪いわけではありません。 でも、両親が感じていた“家族のような存在”は、相手にとっては“お客様”だったのだと痛感しました。
その後、保険を解約すると営業の方は母の家に来なくなり、母はぽつりとつぶやきました。
「○○さん、他のおうちには行っているんだって。」
その言葉の奥には 「また来てほしい」 という寂しさがあったのだと思います。
高齢者のお金を守る鍵は「孤独を減らすこと」
私は今でも思います。
高齢者が本当に求めているものは、保険でも、リフォームでも、終活サービスでもありません。 “人とのつながり”です。
だからこそ、寂しさに寄り添う人が現れると心を開き、結果として契約や買い物など、お金の判断にも影響が出てしまう。
これは保険だけではなく、 訪問販売 終活サービス リフォーム 投資話 など、あらゆる場面で起こり得ます。
「騙されないで」だけでは守れない
高齢者のお金を守る方法は、 「判断力を鍛えること」だけではありません。
・相談できる家族がいること
・子どもに相談しても迷惑ではないと思える関係があること
この2つが何より大切です。
介護は“寂しさを一人で抱えさせないこと”から始まる
介護というと、食事や病院、身体のお世話を思い浮かべる方が多いかもしれません。 でも本当に大切なのは、そのもっと前。
「寂しい」という気持ちを一人で抱えさせないこと。
高齢者のお金を守るというのは、通帳を守ることだけではありません。 その人の心を孤独から守ることでもあるのかもしれません。

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